相手が誰だか分かってしまうから、私は振り向けなかった。
「どこ行くんだよ…?こんな夜遅くに」
「さっ、散歩」
声が震えて、上手く言葉が出てこない。
「愛海、こっちむいて?」
「…」
「ごめん、俺…酷いことした。見たよ、テーブルの上のハガキ」
「…」
「ごめん、本当。あれだったんだな…原因…」
「…」
何も言い返せなかった。涙が溢れて止まらなくて。
「ごめん…」
そんなに謝られると、疑ってしまう。
今も元カノのこと、少しは好きなんじゃないかって。
結婚もしてるし、子供もいるしなんて、そんなの理由にならない。
人の心はいつどう変化するか、わからない。

