12月中旬、青山に久遠グループのカフェレストランが無事オープンした。


湊君の絵が飾ってあるのだから、早く見に行きたくてたまらなかったけど。


湊君も私も仕事が忙しくて、なかなかそんな機会は訪れなかった。


そんなある日のことだった。


久遠社長が絵のお礼にと言って、私と湊君にカフェレストランのクリスマスディナー招待券をプレゼントしてくださった。


その日は壮真君のバーもクリスマスパーティーの予定だったけれど、


無理を言ってお休みをもらい、二人でカフェレストランに足を運んだ。





お店に到着すると、クリスマスイブということもあって、多くのカップルが訪れていた。


私はワンピースを、湊君はジャケットを羽織って、いつもより少し上品なスタイルにした。


スタッフさんにチケットを手渡すと、こちらへどうぞと予約席に案内してくれた。


レストランのほぼ中央の席なので、ちょっと緊張してしまう。


そのは席から、ぐるりと周りを見渡してみると……。


「湊君、すごいよ。

ここに座ると、湊君の絵が3枚ともよく見える」


「うん、俺も思った。

あえてこの席を確保してくださったんじゃないかな?」


湊君の描いた絵の3枚のうち2枚は横並びに飾られていて、


1枚はレストランの一番奥の中央、とても目立つ場所に飾られていた。


「奥の絵、すごいね。

このお店の雰囲気に、すごく合ってる気がする」


「うん。本当だね」


あの絵は湊君が、一番最後に完成させた絵なんだよね…。


「美菜ちゃん」


「ん?」


「あの絵はね、

美菜ちゃんをイメージして描いたんだよ」


「え…?」


「あれはね、美菜ちゃんそのものなんだ…」