「澤井さんは、昔の妻にちょっと似てるんだ。

それがなんだか懐かしくて」


「え、えぇぇっ?」


う、うそだぁ~。


あんな綺麗な人と私とじゃ


天と地の差があるのに。


「まずは人柄ね」


あ、あぁ…なんだ。


中身のことか。


そ、そうだよね。


でも、人事部長と似ているって言われるのは、すっごく光栄だ。


「あと、見た目の雰囲気も」


「ほぇぇっ?」


思わず変な声が出る私を見ながら、久遠社長がクスッと笑った。


「彼女は昔から仕事が出来る人だったけど。

以前はあんなに華やかじゃなかったんだ。

ボーイッシュでね、男性に間違えられることも多々あったそうだよ」


「う、うそですよね?

信じられないです」


「今度彼女に聞いてみるといいよ。

ホントだから」


えー?全く想像出来ない。


でも久遠社長がそうおっしゃるなら、そうなのかもしれないよね。


「彼女はね、恋をして変わったんだ」


「え…?」


「僕と付き合い始めてから、変わったんだよ」


ひゃ。


またオノロケだ。


もう。


社長って奥様のこと、どんだけ好きなんでしょ。