トレモロホリディ

湊君と知り合ってから、早いもので2ヶ月が過ぎようとしていた。


残暑はまだまだ厳しいけれど、湊君と歩く通勤時の風は、幾分柔らかくなりつつあった。


私はいくつかの企業の面接を受けていた。


落とされた会社もあったけれど、それでも受けるのを辞めようとは思わなかった。


それは多分、湊君が絵を描き始めてくれたから。


私も何かに挑戦したかった。


向かう方向は違うけど。


一緒に頑張っていることが、何よりも嬉しくてたまらない。



そんなある日の朝のことだった。


「美菜ちゃん、どうしよう!」


いつものように湊君の部屋に行くと、湊君が軽くパニックになっていた。


「どうしたの?何かあったの?」


心配しつつ部屋に上がると、湊君がタブレットを持って来て言った。


「これ、見て」


「ん?」


なんだろう?と覗いてみると、湊君の作品を載せているサイトの画面だった。


「このサイトが、どうかしたの?」


「それがさ…。


現れたんだ…」


現れた?


「現れたって、何が…?」


目をパチパチさせていると、湊君がガシッと私の肩に手を乗せた。





「俺の絵を




買いたいって人が!!」