トレモロホリディ

「学生のアルバイトが数名いるのよ。

その子達に交代で入ってもらってるの。

今日も厨房にひとりいるわよ」


「あ、そうなんですね。
気づきませんでした」


ふと壁に貼られた紙が目に入った。


長期で働けるアルバイトさん募集?


「アルバイトを募集しているんですか?」


「えぇ、そうなのよ。

学生さんの手も必要なんだけど、出来ればいつも手伝ってくれる人が欲しくて。

でも、こんな時間帯に勤務したがる人ってなかなかいなくて。

飲み屋ほど高いバイト代も出せないしねぇ。

ずっと貼ってあるんだけど、誰も何も言って来ないわ」


うそ。


そ、それなら……。


「あ、あのっ!」


「ん?」


「も、もし私で良かったら、こちらで雇っていただけませんか?」


「えっ?あなたが…?」


私の突然の申し出に、女性が目をパチパチさせる。