時「そろそろ、離してユイ」

時雨が笑いながら言った。



ユ「ヤダ」

せっかく会えたんだもん!




時「今は朝の9時半だよ。

  しかも、歩道だよ」


あ、そうだった!

私は時雨から離れた。



ユ「そうだ!私、寮に行くんだけど

  時雨も来る?」


たくさん、話したいことあるし・・・


時「行っていいの?」


ユ「勿論!!」


私達は、寮に向かって

歩き出した。





ユ「ねぇ。何で、男装してるのに

  私ってわかったの?」


さっきから疑問

に思っていたことを聞いた。


時「あー。後ろ姿とか?」

え!?

後ろ姿でわかったの!?


時「あとさ、逆に質問するけど、

  何で、男子校に入ったの?

  ユイは女子なのに・・・」


う~。答えにくい質問だ・・・


ユ「時坂さんに誘われた」

嘘は言ってないよね・・・。


時「あの、ジジイが・・・」


うわ、時雨の後ろから

ヤバイオーラが・・・


ユ「そ、それにしても

  昔と雰囲気変わったね。」

私は急いで話題を変えた。



時「うん。少しでも、強く見えるように

  一人称を俺にしたり、

  空手を習ったり・・・。」


ほんとに、昔と変わったな~。


何か、かっこいいし・・・。


さすが、私のお兄ちゃん!


あ、ホントのお兄ちゃんじゃないから


雑談をしながら寮の中に入った。

そのまま、エレベータに乗って

部屋に入った。



ガチャ

時「お邪魔しまーす。」

靴を脱いでリビングに向かった。


ユ「そこのソファに座ってて。

  いま、お菓子とお茶持ってくる。」


私は戸棚に向かった。


ユ「お茶は紅茶でいい?」

時「砂糖も1杯」


私は紅茶とクッキーを持って


私は時雨の隣に腰掛けた。


そのあと、昔の事とか話して


いつの間にか11時!



ユ「時雨、私これから

  用事があるんだけど、帰る?」


時「ここで、待ってる。」



時雨からは意外な返事が

返ってきた。


ユ「12時くらいまで、

  かかっちゃうかもしれないよ。

  それでも、いいの?」


時「別に、構わない。」

無愛想に答えるとこが

昔の時雨みたいで、ちょっと

笑えた。


ユ「じゃ、ちょっと行ってくるから

  大人しく待っててね。」



そう言って私は寮を出た。


寮を出ると病院に向かった。

勿論、千秋のお見舞いに行くのだ。



男の人たちに運ばれてたから

体育館から一番近い

病院に居ると思うんだけど・・・。



そんなこんなで病院に着きました!


病院の中に入って

カウンターにいる女の人に聞いてみた

ユ「仙波千秋っていう人、

  この病院に入院してますか?」


女「あ、238号室にいらっしゃいます。」

ユ「分かりました。ありがとうございます」


お礼をいって、その場を離れた。



何故か、さっきの女の人の顔が

赤かったような気がするけど、

風邪気味かな?


そんな事を考えていたら、

いつの間にか238号室についた。



ガラガラガラ

そっと、ドアを開けると




ベットの上に座りながら

窓の外を眺めている千秋がいた


ユ「よお。千秋。」

私は窓の外を見ている千秋に声をかけた


千「ユイ!練習試合は勝ったのか!?

  勝ったのか!?」


すっごい、形相できいてきた。


ユ「勿論、勝ってたぞ。」

俺は、

親指を立てて笑ってみせた


最初は、この5人事を

危ない奴らだと思ってたけど、

仲間思いの優しい奴らだった。



今日の試合を見ててわかった。



千「よかった。よかった。

  ほんとによかった」


千秋は泣きながら、笑った。


ユ「あと、俺、

  バスケ部に入ることになった。」


照れくさそうに私は言った。


千「な、なんで!?」

千秋が驚きながら私に言った。


ユ「今日の試合、千秋が退場して、

  その代わりが俺だったんだ。

  だから、今日の試合は

  ちょっとだけ俺も出てた。」



千「そ、そうだったのか!?

  じゃあ、俺達の為に

  試合に出てくれたのか・・・。


  よし。わかった・・・。

  ユイ。俺の昔話を聞いてくれ。」



千秋が何かを決心したかのように


私に言った。


ユ「ああ。」


千「俺はホントの家族を知らない。

  俺は気づいたときには

孤児院にいたから・・・・

  周りに構って欲しくて、

  バカみたいなキャラで自分を

  目立たせようとした。そしたら、

  いつの間にか、

  仲間がたくさんいて・・・


  でも、時々思うんだ。こいつらは

  ホントの俺を

  好きになったんじゃないって

  こんな、汚い裏の顔を持ってるのが




  ホントの俺なんだ・・・・・・」



話し終わった千秋の顔は

切ない顔をしていた。

でも、千秋はすぐに笑った。



ユ「千秋。悲しいなら

泣いたらいいじゃん。


  苦しいんなら

助けてって叫んだらいいじゃん


  ホントの自分を見て欲しいんなら

  ホントの俺を見ろって、

  怒鳴ったらいいじゃん」




私は千秋の手を握って言った。


千「ユ、イ・・・うわわわああああ」


千秋はその後、子供みたいに

泣きじゃくった。

私は千秋の手を強く握ることしか出来なかった。


千秋が泣き止んだ頃に私は

千秋の目を見ていった。



ユ「千秋の馬鹿なとこも、面白いとこも

  全部が千秋だと思う。

  裏の顔とか関係なしに

  それを全部一括りにして

  今の千秋がいるんだよ。」


千「ユイ・・・

  ありがとう」



千秋が笑った。

その笑顔は私には

本物の笑顔に見えた。


ユ「もう、行くね。

  あっ、そういえば、退院はいつ?」


一番重要なのに聞くの忘れてた。


千「軽い捻挫だったから

  明日には退院できるって。」



ユ「よかったな!

  じゃあ、また明日!」


そう言って、私は部屋を出た。



そのあと、

千秋の泣き声が五月蝿くて、

私が看護師さんに怒られたのは

言うまでもない。



病院を出て、寮に帰る途中に


私の携帯が鳴った。



♫ピロリロリン♫


携帯を確認してみると、


知らない人からだった。


だれだろ~?


ユ「もしm「ユイ?今すぐ寮に帰って来い!
  
  知らねー奴が部屋にいて・・ブチ・」


何か、遊兎の声がしたんだけど

遊兎に電話番号教えてないし・・・


てゆーか、知らない奴って・・・


あ、、、時雨だ!!!


私は急いで寮に戻った。


急いで行ったら、

20分くらいで、部屋の前まで着きました。