「おーい晶!早くしないとおいてくぞ」

幼馴染の声が静かな家の中に響く

「ちょっとまってよ祐希」

「そう言って10分ぐらい待ってるんだが?」

「女の子にはいろいろあるんだよ!」

「ってもお前着てるのは学ランじゃねぇか…」

「仕方ないだろ?祐希が来るのが早すぎるんだ!」

「生徒会の会議があるからいつもより早く行くからって言ったのに、僕も一緒にいく!とか言ったのお前だろ?」

僕、長谷川晶は女の子でありながら男として学校に通っている
このことを知っているのは幼馴染の祐希と奈菜だけだ

「ほら行くぞ〜」

「あっちょっと待ってよ〜」

僕と祐希は住宅街に住んでて、親同士が仲のいい幼馴染だ。

「あれ?奈菜は?」

「いつも通りの時間に行くってさ」

奈菜も幼馴染の1人だ
数少ない僕の女友達でもある

「ねぇ祐希〜今日って何時に学校終わるっけ?」

「さぁ?午前中には終わるんじゃね?」

「春休みの課題やってないんだよね…」

「いやいや、ちゃんとやりなさいよ…」

くだらない話をしながら通学路を歩いていた

「なぁあの子可愛くね?」

「奈菜にチクるよ?」

「マジで勘弁してください」

「ってあっ!祐希!カバンよろしく」

僕は荒々しくカバンを祐希に投げつけて走った

「ちょっなんだよいきなり!」

キーッ

「あぶねぇな!車見えてねぇのか?!」

ドライバーはそう言って車走り去った

「だっ大丈夫?怪我はない?」

「王子…様?」

「え?」

ヤバいよ〜
王子様って言われちゃったよ…
僕も女なんだけどな

「いっいえなんでもないです!」

「そう?見たところ怪我はなさそうだけど大丈夫?」

「はっはい!危ないところを助けていただきありがとうございました!」

「よかった〜ちゃんと車来てないか見てから渡らないとダメだよ?じゃあ」

これ以上関わらない方がいい
僕の直感がそう言ってる

「あっ命の危機を助けていただいたんですからお礼させてください!」

「いいよいいよそんなの」

「でもっ…」

「本当にいいからさ」

「じゃあ名前だけでも教えてください」

「長谷川 晶だよ」

「長谷川…晶さん…あのっ本当にありがとうございました」

「いいって、今度からはちゃんと気おつけてね」

そして僕は急いで祐希の所へ戻っていった

「ひゅー相変わらずかっこいいね」

祐希は笑いながら僕に絡んできた

「やめてよ〜なんで僕の周りってこんなことばっかり起こるんだろ…」

「おかげで晶君は女の子にモテモテだもんな」

「だから困るんだよ…」

「羨ましい悩みだねぇ〜」

この後僕たちは何事もなく教室へ向かった

「長谷川晶さん…私の王子様!!」
1人運命を感じる桜だった…