「おかえりなさいませ。棗坊っちゃま」
棗「あぁ、ただいま。
……………………白部」
何時もは誰も居ない筈の家から、お出迎えの言葉が掛かった。
この無駄に広い家に雇われた、
俺の為の"使用人"、白部。
正直俺は、コイツが嫌いだ。
白部「棗坊っちゃま、
御夕飯の準備が出来ております。
御部屋にお持ちした方が宜しいで しょうか?」
棗「あぁ、悪いけどそうして貰えるか」
白部「畏まりました。
では、少々お待ち下さい。」
コイツが俺と話す時、瞳に憎しみが宿っているんだ。
生憎俺は、自分に敵意を示す奴を、好きになれる様なマゾでは無い。
玄関から少し歩き、自室の扉を開ける。
白をほとんどで、所々に黄色を入れた、とてもシンプルな部屋。
俺としては、壁紙を黒に金のストライプのもの。カーテンを黒。レースを金で縁取った白。
と黒を基調にした部屋が良かったのだ。
だが、この家では、白を必ず入れなければならなかったのだ。
変なキマリだよ。


