二重人格の彼

「''代わり''か」


「やめて、早苗……余計凹む」


その次の日、早苗に報告した。


付き合えたこと。けどそれは麻実さんの代わりであること。


「会長も何考えているんだろうね」


「しらないよ」


最近、先輩を見かけるが麻実さんとは一緒にいることが少なくなった。


「今日も行くの?」


「行かなきゃ、約束だし」


今日もいつものように、放課後約束の場所に行く。


いつもは軽い足取りなのに、今日は重い。


「遅ぇじゃん」


「すみません」


「ま、いいけど」


そう言っていきなりキスされた。


「……ッ……先輩?」


先輩はあたしを抱きしめて離さない。


「頼む、少しの間このままでいさせてくれ」


先輩の声は泣きそうな悲しい声だった。


あたしはどうしたらいいのか、全くわからないから兎に角先輩の頭を撫でた。



しばらくしてやっと先輩が離れた。


「悪い」


「い、いえ」


「凛」


急に先輩があたしの名前を呼んだ。しかも下の名前で。


「な、なんですか?」


「俺ん家こい」


は?何言ってる。


あたしの言葉を聞かず、腕を引っ張り連れていかれる。