“妖精と巫女に護られた深き森の中に一つポツンと村が在った。
だが、この付近の人々は近寄ろうとしない。むしろ、一方的に関わりを避けているようだった。何故ならそこの集落に関わると・・・”
by.書・この村の真実


「この本。嘘ばっかじゃん!ちゃんと周りの村と交流をしてるし。さっきも、隣村のサーシリアに住むお婆ちゃんと会ってついつい長話しちゃい、挙げ句の果て魔石まで貰っちゃったし。しかも破れて続きが読めないし。“この村の真実”この名前に惹かれて読んで見たけれども駄目ね。駄作よ駄作。一体誰が書いたのかしら?目の前にいたら叩きのめしてる所よ!」
と持っていた本を投げ捨てて再び、荷造りに専念する少女がいた。彼女の名は、レベッカ=レベルト。
少しすると、レベッカの家の戸が叩かれた。コン、コン。木製の戸と人の骨がぶつかる音がした。
「おーい。レベッカ、荷造りは終わったか?」
と外から男の声が聞こえた。
(ヤバッ!村長が来ちゃった・・・)
「はーい!もう終わります!」
元気よく返事をしたレベッカだったが内心はヒヤヒヤしていた。何故ならば、レベッカはこの村長の村の人々たちの声よりも1トーン位低い声がどうも苦手であるため、村長が来る度に怒られるのではないかと思うからである。だが、それも今日で終わりだ。何故ならば、この村から出るからだ。