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『………うん』


色々と混乱してる中、陸が話し出した。



「俺が中学の頃、婚約者がいた。…豊留財閥の豊留美麗だ。当時、美麗にも俺にも好きな奴くらいいて、お互い婚約を阻止しようと頑張った」



あたしが見ていた“東堂陸”とは別の“東堂陸”があったんだ…


「だけど、やっぱり無理で……中2で俺は、私立中学に通わされた。毎日がつまんなくて、勉強なんてする気にもならなかった。もちろん成績ガタ落ちで、親には酷く叱られた………そうさせてんのは親なのに」




そんな事、あったんだ………



同情じゃないけど、胸が苦しくなる。




「そうしてる内に俺の兄貴が東堂を継ぐことが決まった。別に兄弟仲悪いわけじゃねーしむしろ良い方だから、俺が兄貴を縛り付けたって罪悪感があった。」



そんなの…………陸一人で背負うものじゃ無いのに…



「でも兄貴、自分は元々継ぎたかったから、お礼を言いたいくらいだとか言って、簡単に俺の心を軽くしたんだ。本当か嘘かは分からないけど…。兄貴は兄貴なりに考えた事だから、俺は応援しようって決めた」



いつか、…………迷惑でも



陸のお兄さんに会って、お礼を言いたい。






そう思った。