それから俺は慌ててスーツを着ようとした時に愛ちゃんがまた笑った。

「キョン、あわてなくても大丈夫だよ」

「もう六時だし」

「アハハ、ここは私の家よ。歩いても数分で店につくのよ」と、言った。

「ここは何処なの?」と、おれが尋ねると、愛ちゃんは流れ川と言った。

「流れ川って民家もあるんだ」

「あるわよ」と俺を見て不思議そうに言った。

あとから知った事なのだけど、この時に愛ちゃんの俺を不思議そうに見ていたのには理由があった。

それは愛ちゃんの故郷は広島ではなく、島根で、広島出身の俺のほうが無知な事にたいしての事だった。