それを知は自分の欲望のために、幸恵に告げた。

きみは色恋で金ずるでしかないと。

そうすることで、知は幸恵が自分のものになるのだと思ったんだろう。

だけど、結局利用されたのは、知のほうだ。

幸恵は、はじめからガクさんの気持ちを試すために知を利用した。

ガクさんは知に言った。

「必ず、自分の客にしろ」と。

結局、幸恵はその後、店にくることはなかった。

そして…知もやめた。

知が行った行為は、ホストとしてじゃなく、一人の人間として、道理に反していた。

だから知がやめると言った時、誰もとめなかった。

この時、俺は知の行為も幸恵の行為も、ただ欲望のためにおこなった、エゴ、どちらもあわれだとしか思わなかった。