「………」
「………」
ばっくんばっくんと驚くほど心臓が鳴っている中、樹くんは急に口を閉じる。今日の樹くんはいつもと違う感じがするから少し怖い。次何が起こるのか分からないし。
「……」
「……!」
何もできないので硬直したままじっと待っていると、樹くんの右手が壁から離れていった。
よしこれはチャンスとばかりに脱出を試みたけれど、次の瞬間伸びてきた手によってそれは阻まれた。
するりと頬を掠める樹くんの手。びっくりして何を考えているのか探ろうと無意識に視線が樹くんの目を見る。
二つの瞳は、いつもよりもずっと、熱っぽい気がした。
「………」
「……」
「……顔赤すぎ。おもしろ」
「……だ、だれのせいだと思っていらっしゃるのですか」
「俺」
「分かってるんかい」
耐え切れずツッコミを入れると、樹くんはおかしそうにくすくすと笑った。な、なんだその色気は。
本当、樹くんどうしたんだろう。確実にいつもと違いすぎるよね。

