『……』
「な、なんでございましょうか」
何だか知らないが、樹くんの声の感じがさっきと変わった気がする。
なんていうんだろう、凄く……悪い方向に変わってる。
『…“確かに月は綺麗だけど、けどあたしの場合、樹くんと一緒に月見てるからもっと綺麗に見えるかもしれないねー”。』
「……え」
『“樹くんが見てる月をあたしも見てるってわけだ。なんか嬉しいねこういうの”「え、ちょ、」
『“樹くんの声が電話越しに伝わって、あたしの声が樹くんに伝わって、月を一緒に見て…やー、なんかほんとに繋がっ「待って待って待て待てセイセイセイ!!」
え、ちょっと待って。
今あたしが考えてたことがそのまんま樹くんの口からぽんぽん出てきたんだけども。しかも棒読み。超棒読み。
『お前考えてることそのまま口に出してる』
「……………………ワーオ」
凄い。
自分の馬鹿さ加減に本気でドン引く日がくるとは思わなかった。
まさか口に出してるなんて。馬鹿にもほどがあるっていうか恥ずかしすぎてどこかに埋まりたい。それか叫びたい切実に。
『……お前本当むかつくよね』
「よねと言われても困るよね」
まぁむかつくというかドン引きはしてるんだけどね。

