『……つき、』
「へ?」
『……月、綺麗』
「………え」
ぼんやりと呟いたみたいなその言葉であたしももう一度シャッとカーテンを開けた。
真っ暗な夜空にぽっかりと大きなお月さま。
今日気象予報士のお姉さんが言ってたみたいに、さっきと変わらない綺麗な満月が浮かんでいた。
「……すごいきれいだよね、今日の月」
『………は?』
「綺麗な色ー…」
『………お前、もしかして意味知らないの』
「いみ?いみさんってひとがいるの?」
芸能人かな。その場合漢字表記は伊美?伊見?あ、IMI?かっこいいね。
『……』
「やー、本当綺麗だね月。これから見てみようかな」
『……』
「…あ、」
樹くんがずっと黙り込んでいるのに気付かずに、あたしはふと気付いた。
確かに月は綺麗だけど、
「けどあたしの場合、樹くんと一緒に月見てるからもっと綺麗に見えるかもしれないねー」
『……、』
樹くんが見てる月をあたしも見てるってわけだ。なんか嬉しいねこういうの。
樹くんの声が電話越しに伝わって、あたしの声が樹くんに伝わって、月を一緒に見て…やー、なんかほんとに繋がってる感じだね。
見ている月はさっきと変わらないはずなのにさっきよりもきらきら光ってる気がする。まぁあくまで気がするだけども。
「ふふふ」
『………おい』
「そう思うと月がますます綺麗だな」
『おい』
「っハイ!!」
わおびっくり。

