「まあお前がそれでいいならいーけどさぁ、観覧車もう1周あんだからそれまではやっとけば?ダメ元みたいな感じで」


「……」



それでもすごく虚しいけどな、というのは言わずに飲み込み、少し考えた。


んー、まあダメ元だし、っていうか元々ダメ元だったからそんなに変わんないか…。




「…じゃ、最後のあがきってことでちょっとだけやるよ」



「おっ。そうこなくちゃ☆」



正直すでに諦めてはいたけど、まあ唯が楽しそうだし止めることは無理そうなので流れに身を任せることにしたあたしは頂上までの景色を存分に楽しんだ。






……………で。







頂上に来たところで事件は起きたのだ。



初めはあたしのバッグが落ちたのが原因だった。
座ったまま頭だけ座席の下を覗かせていたのがいけなかった。







「で、その作戦だけどさー…って、どした?」




「う、ぅううううおぉおお……」




「地獄から這い出たような唸り声だな」





「い、…痛い…」



「どこ?」



「目…いってええ!!」





そう。




あたしの目が急に痛み出し、生理的に涙がぽろぽろと出てきたのだ。



「こここここコンタクトがずれるよぉおおおおていうかずれてるよねこれちょっとおおお」



「こんなとこでずれるもんなのか、へえ」



「そんなこと言ってないで助けろよこらあああああ!」



「いやそんなこと言われても。…あ☆」




あたしがわちゃわちゃしてる時に唯は何かを閃いたように目を輝かせ、「これナチュラルに作戦できるな!」と謎の言葉を発した。
何を言ってるんだ助けてくれ痛いマジで痛い痛い痛い。