お向かいさんに恋をして

「うんと……もう、はっきり言うねっ!

さくらちゃん、目、赤いよ? ご飯屋さんで大丈夫? 泣いたって周囲にばれないかなって……」

あ……。確かに……。

「きなこちゃん、教えてくれてありがとう。
だよね。ちょっと恥ずかしいかなぁ……。
じゃあ何か別のこと……」

「任せてっ!」

「?」

じっと私ときなこちゃんのやり取りを見守っていた留奈さんが、はいっと手を挙げた。
留奈さん、授業中に答えに絶対的自信を持って挙手する小学生みたい。
留奈さんらしいっちゃらしいけど、笑ってしまった。

「要は、目立たない飲食店ならオッケーってことよね。
あるわよっ! 照明がほんのりで、個室があって、ご飯が美味しくてリーズナブルな場所!」

そんな都合の良い場所が……?
留奈さんが知っていて、且つ好きそう
な場所を想い描いてみた。