桃は離れると、 「あのね、菜々に話したいことがある。」 と真剣な顔をして言った。 「何?」 近くの石段に腰掛けて桃は話し始めた。 「実は…」 私は桃から桜のことを全部聞いた。 「そんな…。桜が全部やったの…?」 「そうだよ。」 桃は顔を曇らせながら俯いた。 「でも、きっと何かあったんだよ。」 「どうして、菜々は桜に対してそんなに優しいわけ?」 「悪気があったわけじゃないと思うな。桜は寂しいんだよ。」 涙を堪えながら私は桃に別れも告げずに走って帰った。