れもんどろっぷ。




…今、とても驚いています。

なんと先日受けた映画のヒロインオーディション、受かってしまいました。

演技経験が全くないあたしは、これから鬼のようなレッスン漬けの毎日が待っているらしい…。
おかげで朝から事務所がバタバタだ。




「陽奈ちゃん!」

突然名前を呼ばれ声のする方を見ると、忙しそうな社員さん達の奥に社長の姿があった。

「…はいっ」

あたしは急いで社長に駆け寄った。

「合格おめでとう」

「ありがとうございます」

笑顔で祝福してくれる社長に、あたしは深くお辞儀をした。






「それで…陽奈ちゃんに専属のマネージャーを、と思ってるんだが」

「マネージャー…?専属…?」

まだまだ未熟すぎるあたしにも単独でマネージャーがつくんだ…と、少し嬉しく思った。

「星野さんって…覚えてるかな?」

星野さん…。
あたしがこの世界に入るきっかけをくれた人。
ちょっと怖そうなイメージだけど…。

「はい、覚えてます」

「星野さんはね、新人を育てるプロなんだ。そこでぜひ陽奈ちゃんに…と思ってね」

そんなすごい人があたしのマネージャーに…?