(涼平side)
わかりやすすぎるんだよね、陽奈ちゃんって。
強がってるのバレバレ。
「3、2、1…」
その合図で、いよいよキスシーンの撮影が始まった。
俺が陽奈ちゃんに掴みかかるような形でスタンバイ。
『ちょっと…勇樹さん‼︎』
俺の役名を叫ぶ、夢芽ちゃんこと陽奈ちゃん。
『いいじゃん、夢芽ちゃん。減るもんじゃないし?』
俺が演じる塩沢勇樹は、合コン好き女好きの最低男。
夢芽ちゃんとも合コンで出会った設定だ。
『やめて…くださいっ』
そんな悲痛の叫びも聞こえない勇樹。
ここで俺は無理矢理夢芽ちゃん…いや、陽奈ちゃんにキスを。
…できなかった。
