「…フッ」
少しすると、急に安藤さんが笑い出した。
「2人して頭下げて…はたからみたら変な人たちだな」
「…ですね」
今度は2人して笑い合った。
あたしだけに向けられる笑顔…。
心臓、本当に壊れちゃうかも。
それくらいドキドキが鳴り止まない。
「なあ…木下?」
「はい?」
「この後…仕事か?」
「いえ、あたしまだこの映画の撮影以外お仕事がないので…」
自分で言って少しだけ悲しくなった。
そう、あたしはまだデビューもしてなくて。
でもそんなあたしがdropsが主演の映画のヒロインを務める。
しかも…最終的には安藤さんの恋人役。
冷静になってみるとこれって、かなりやばいんじゃ…?
そして、この映画のヒロインのことは世間にはまだ知らされていないから、あたしを知る人は身内や事務所の人、この映画の撮影に関わる人のみ。
ヒロイン役が世間に知らされれば、お仕事が増えるかもしれない…と、今は淡い期待をしている。
そのために、今はひたすら頑張らなきゃ。
