『夢芽、どこ行きたい?』
『うーん…水族館!』
今日はこの間のシーンとは打って変わって、勝也と夢芽の仲良しぶりを発揮するシーンの撮影。
気のせいかもしれないけど、この間の現場の空気とは全然違う。
すごく澄んでいる。
「…木下」
一通り撮影を終えた時。
深刻そうな顔をして安藤さんが話しかけてきた。
こんな時でもあたしの心臓の大きな音は鳴り止まない。
「…なんですか?」
冷静を装って返答をする。
「この間はその…悪かった」
「えっと…?」
「決めつけたようなこと言って悪かった」
そう言いながら頭を下げる安藤さん。
…肩書きの、ことかな。
思い出すと少しだけ胸がズキン、と痛む。
「あ、頭上げてください!あたしの軽率な行動のせいですから。むしろ謝るのはあたしの方です!」
頭を下げる安藤さんの前で、あたしはもっと深く頭を下げた。
