「…じゃ、また」 安藤さんがくるりと方向転換をし、あたしからは安藤さんの背中が見えている状態だ。 「…あのっ!」 その背中にめがけて、精一杯の声を張り上げる。 「…ん?」 「今日は、あの…ありがとうございました」 安藤さんは一瞬考えるような表情を浮かべたが、 「…あぁ」 と、優しく答えてくれた。 「あ、あの…あたし…。dropsのファンなんです」 あたしは気づくと、安藤さんにそんなことを言っていた。 「…へえ、ありがと」 そう答えてくれる安藤さんが、少しだけ冷たいように感じた。