「…ついたよ」
行きと同様、車を30分ほど走らせると見慣れた景色が広がる。
車内では何度か間を置きながら、いくつかの会話を交わした。
今までは間が空くと何か話さなきゃ、と焦ってたけど、今となってはその間でさえ心地よく感じる。
沈黙が居心地の悪さを感じさせない関係。
これ以上のものはないと思う。
「ありがとうございます」
あたしは一言そう言って車から降りた。
もう1度お礼を言おうと思い振り返ると、そこには車から降り、壁に寄っかかっている遥斗さんの姿があった。
「遥斗さん…?」
あたしは疑問に思い問いかけた。
「…玄関の前まで」
ドキンーーー
あたしの胸が急激に高鳴る。
数の少ないその言葉が、余計に…。
「あ、えっと…はい」
今までこんなことなかったのに。
急に大胆になった遥斗さんの姿に驚きを隠せなかった。
