「陽奈ちゃん、食べてる?」
涼平さんがニコニコとしながら、はい、と唐揚げの乗ったお皿を渡してくれた。
「涼平さん!ありがとうございます」
「いいえ。唐揚げで大丈夫だった?」
「はい!大好きです」
「そっか、よかった」
そう言いながらあたしの隣に腰を掛ける。
その瞬間、涼平さんの明るいサラサラな髪が風になびき、それに乗ってシャンプーの良い香りがした。
「…っ」
思わず涼平さんの方に振り返ると、あまりの顔の近さに驚いた。
「あ、ごめんっ」
あたしの驚いた様子を見た途端、涼平さんは急いで1人分程離れたところに座り直した。
「…大丈夫です」
そう言って、あたしは手に持っていたオレンジジュースを一口飲んだ。
それをなぜか凝視してくる涼平さん。
「…ど、どうかしましたか?」
あんまり見られるものだから、緊張してついどもってしまう。
「ううん…ほんと、ずるいなって」
「…え?」
全く予想していなかった答えが返ってきて、さらに気が動転する。
「これからずっと独り占めできるんだよな…遥斗は」
涼平さんが話している途中から、波の音が激しくなり聞こえなくなってしまった。
「…すみません、聞こえませんでした」
「ん?あぁ、いいのいいの。独り言だから」
…そう言われるとすごく気になる。
だけどこれ以上聞き返すのはなんだか気が引けて、わかりました、とだけ返して唐揚げを1つ口に入れた。
