「遥斗くん、涼平くん。そろそろ撮影始めるよ」
「「はい」」
監督から声をかけられ、俺たちは撮影の準備に入った。
「本番いきまーす!3、2、1…」
カチッ
『お前が夢芽の…』
今回撮るシーンは、夢芽の合コン相手であった勇樹と俺が海で出会うシーン。
『悪いね…夢芽ちゃんはもらったから』
『ふざけんなよ…俺の方がずっと前からあいつのこと…』
『でもそれ本人には言ってないだろ?俺が先に伝えた。それだけの話だ』
『なっ…』
『出会った順番とか、想ってた期間の長さとか関係ねぇんだよ。恋なんて実ったもん勝ちだ』
実ったもん勝ち…。
確かに伝えなきゃ何も始まらないよな。
涼平が勇樹として放つセリフが、俺の心にグサッときた。
『…クソッ。簡単に伝えられたらこんな悩まねぇよ』
「カット!よかったよー」
そのシーンは一発OKだった。
「遥斗、どうしたの?随分アドリブ利いてたね」
…そう。
最後のセリフは本当はなかったもの。
でもつい…本音が漏れてしまった。
