とろける恋のヴィブラート

「ガ、ガキ……?」


「期待してるよ、ピアニストさん」


 そう言い残して、くるりと御堂は奏に背を向けた。


「私、ピアニストなんかじゃ……ないです」


「……?」


 重く低い奏の声に、御堂が肩越しに振り返った。


「すみません、失礼します!」


 ペコリと九十度に頭を下げると、居た堪れなくなった奏は、そのまま猛スピードでその場を後にした――。