とろける恋のヴィブラート

(こんなレアなピアノ、私が触っていいのかな……き、緊張する……でも、すごい)


「すみませんが青山さん、私、次に予定がありまして……」


 次の予定が押し迫っているのか、腕時計を見ながら担当者が申し訳なさそうに頭を下げた。


「あ、わかりました。終わり次第レセプションに声かけておきますね」


「よろしくお願いします。あ、それとこれ、パーティー当日のプログラムです。一応、御堂様の演奏されるリストもありますので」


 そう言って彼女はプログラムを手渡すと、そそくさとホールを後にした。