とろける恋のヴィブラート

「夢……じゃないですよね?」


「はぁ? これが全部夢だったら、きっと俺は怒り狂うだろうな」


「じゃあ、御堂さんのヴァイオリンを聴かせてくれませんか?」


 まるで子守唄を強請る子供のようだ。と内心そう思いながら、奏は御堂を見つめた。


「ガキ……」


 そう言いつつも“仕方ないな”というように小さく笑うと、御堂はゆっくりベッドから起き上がってガウンを羽織った。


「どんな曲がいいんだ?」


「御堂さんの弾くヴァイオリンならなんでもいいです」


「はぁ……そう言うのが一番困る」


 “すみません”そう言いたかったが、今にも途切れそうな意識の中では、ただ唇を僅かに動かすことしかできなかった。


 御堂がすっとヴァイオリンを構えて弓を弾く。