とろける恋のヴィブラート

「もっと口開けろ」


「……でも」


「何も考えられなくなるくらいのキス、教えてやるよ」


 近距離で視線が絡むと、奏は全身の血液が今にも沸騰しそうになって顔を背けた。


「こっち向けって」


 恥ずかしがっているとわかっていながら、御堂は少々強引に奏の顔を向き直らせて唇を奪う。


「んっ……」


 おずおずと奏が口を開くと、熱い塊が無理矢理入ってきて口腔を犯すように転がりまわる。


 穏やかなキスとはまるで違う、激情をぶつけるかのような口づけに、奏は短い呼吸を繰り返すことしかできなかった。


「御堂さん、もう……頭が……おかしくなりそう……」


 口の端から溢れる唾液を拭う間もなく、奏は息も絶え絶えに訴える。


「おかしくなればいい……何も考えずに、ただ俺だけを求めろ」


 唇を啄まれ、舌を吸われるたびにお互いの熱い吐息が混ざり合う。本能でお互い脱がせあった服が造作に床に散らばっているのを見て、冷静さを取り戻してしまいそうになるが、御堂の与えてくる愛撫が再び奏を夢現へ誘っていく。


「ずっと、ずっとこうしたかったんだ。歯止めがきかなくても許せよ……」


 しっとりとした肌が張り付いて、ありとあらゆる熱がお互いの身体を行き交っているようだった。粘着質な音が鼓膜を刺激すると同時にドキドキと心臓が波打つ。


「もう絶対に離さない……」


「あっ……」


 鳥肌が立つほどの快感が脳髄まで達すると、奏はぎゅっと御堂の身体を抱きしめてそのまま朦朧とする意識を手放した――。