とろける恋のヴィブラート

 ※ ※ ※

 正午近くなると、太陽の光が強まって木漏れ日が光の光線のように輝いて見えた。


(それにしてもいい天気でよかった……!)


「あ、あの! 午後一時から御堂カイリの野外コンサートを森林公園でやりますので、是非来てください!」


「え? 御堂カイリって、あのヴァイオリニストの? この前雑誌で見たのよ~! おかげで今までクラシックなんて全然興味なかったのに、御堂さんの曲は聴くようになったわ」


 奏は森林公園の最寄駅に立って、コンサートのチラシを配っていた。行き交う人を捕まえては声をかける。


「でも、この時間、ちょうど予定が入っちゃってるのよ~残念だわ」


「そう……ですか。またよろしくお願いします」


 御堂カイリという名前に興味を引かれるものの、昨日と今日の宣伝活動では、思うように予定が合わない人が多かった。


(御堂さんだって頑張ってるんだから私だって頑張らなきゃ!)


 奏はじんわりと額に滲む小汗を手の甲でそっと拭った――。