とろける恋のヴィブラート

「私からもお願いします。コンサートに来てください。御堂さんが日本でもやっていけることを証明しますから」


「今から客を集めるなんて無理だろう? 時間の無駄だ。けど、こんな窮地でどう集客するのかは、マネージメントとしての腕の見せどころじゃないかな? 明後日、私の納得できるコンサートではなかった場合、問答無用でカイリをベルンフリート本社へ移動させる。いいね?」


「……わかりました」


 奏は、意を決してエドガーに返事をしたものの、まだ何も決まっていない不安から、ひどく頼りない気分に陥ってしまう。


 コンサートは明後日。その日にエドガーが納得できるようなステージでなければ、御堂はそのままウィーンへ旅立ってしまう。


「きっと大丈夫だ。俺を信じろ」


 その時、そっと御堂の温かな手が、奏の背中に回された。


(御堂さん……)


 強ばっていた身体がゆっくり緊張から解きほぐされ、奏はその安心感に身を委ねた――。