とろける恋のヴィブラート

※ ※ ※

(やっぱりオーケストラって迫力あるな……)


 興奮さめやらぬまま、あっという間に二時間が過ぎ去った。 


 久しぶりに聴いた生の演奏は、鳥肌が立つほど素晴らしかった。けれど、いつまでも夢現に浸っている場合ではなかった。本来の目的であるエドガーとの接触を、何とかして果たさなければならない。


 奏は公演が終了し、ぼんやりと照明が戻ってくるのを待っている間、目を凝らしてもう一度御堂の姿を探した。


(見間違いだったのかな……)


 公演が始まる前、御堂らしき人物が立っていた場所には、すでに違う人だかりが出来ていた。会場内では演奏の感想をお互いに交換し合ったりしている人で混雑していた。


(どさくさに紛れて控え室とかに行けないかな……)


 奏は席を立ち、しばらく歩いて様子を見ることにした。飛び交っている異国の言葉を聞くと、無意識に目がいってしまう。


 その時――。