とろける恋のヴィブラート

「その公演日、ちょうど一ヶ月後だから、まだ間に合うわね」


 フランシスカの公演はなかなかチケットが予約できない。奏も何度も行こうかと試みたが、ことごとく運に見放されてしまい、その公演は未だに未知の世界だった。そのチケットが、今、目の前にある。


「で、でも……これ、瑞希さんのチケットだったんじゃ……」


「いいの、それ、エドガーおじさんから送られてきたものだし、そのチケットで誰が行こうと、私からの紹介だから関係ないわよ。あなたのおかげで今夜は楽しめたわ……そのお礼よ」


 エドガーは普段海外を転々としていて、日本に来ることは稀だ。


(この公演会でもしかしたらエドガーさんと話ができるかもしれない……)


 奏は、天から舞い降りたチャンスを胸に、御堂へと想いを馳せた――。