とろける恋のヴィブラート

「エドガーおじさんは悪い人じゃないんだけど、自分の思うようにならないと手段を選ばず解決するところがあってね、ちょっと癖のある人なのよ。エドガーおじさんはカイリにとって一番いい環境は本社だと思ってる。日本よりも……ね」


「それって、ようするに日本支社を見下してるってことですか? 御堂さんが活動するのには役不足だと……?」


 確かに御堂は日本ではさほど知られていない演奏家だ。けれど、御堂ほどの才能があればすぐにでも全国的に有名になると奏はそう思っていた。


「脅されたというよりも、ウィーンに戻らざるえないようななんらかの実力行使に出られたのかもしれないわね……」


 瑞希は、考え込みながら手を顎に当て、うーんと何度も唸っていた。


(実力行使………か、もしそうだとしたらありえるかもしれない……だったら、だったら私はどうすれば……)


「そんなに落ち込まないで、ね? 私もなんとか力に――」


「瑞希さん……エドガーさんに会うにはどうしたらいいですか?」


「へ?」


 頭を抱え込んでカウンターに突っ伏していた奏が、急にむくりと顔をあげて言うと、突拍子もない奏の言葉に瑞希が目を丸くした。