フランシスカ交響楽団といえば、クラシックの世界ではかなり名の知れた有名な楽団だ。御堂の父がオーケストラの指揮者であることは知っていたが、かの有名なフランシスカ交響楽団のトップだったとは知らなかった。
「エドガーおじさんはね、カイリが日本で演奏活動することをあまり快く思ってないの、ずっとウィーンに戻って本社のベルンフリートに入れって口うるさく言ってたわ。けど、カイリは子供の反発みたいに一度たりとも本社に足を踏み入れたことはないわね」
「だったら尚更おかしいと思いませんか? そんなに本社に戻るのが嫌なら……御堂さんの性格なら、何が何でも帰らないと思うんですけど……あんなにあっさり帰るだなんて」
奏は、すっかり汗をかいてしまっているグラスを両手で包み込み、中で氷が融解している液体をぼんやり見つめた。
「……まさかとは思うけど」
瑞希が一点を凝視しながら険しく目を細めると、独り言のように言った。
「エドガーおじさんに脅されたのかも……」
「え? 脅されたって……?」
その不穏な言葉に、奏は覗き込むように瑞希に向き直るが、瑞希は奏と目を合わせることもなくただ一点をじっと見つめていた。
「エドガーおじさんはね、カイリが日本で演奏活動することをあまり快く思ってないの、ずっとウィーンに戻って本社のベルンフリートに入れって口うるさく言ってたわ。けど、カイリは子供の反発みたいに一度たりとも本社に足を踏み入れたことはないわね」
「だったら尚更おかしいと思いませんか? そんなに本社に戻るのが嫌なら……御堂さんの性格なら、何が何でも帰らないと思うんですけど……あんなにあっさり帰るだなんて」
奏は、すっかり汗をかいてしまっているグラスを両手で包み込み、中で氷が融解している液体をぼんやり見つめた。
「……まさかとは思うけど」
瑞希が一点を凝視しながら険しく目を細めると、独り言のように言った。
「エドガーおじさんに脅されたのかも……」
「え? 脅されたって……?」
その不穏な言葉に、奏は覗き込むように瑞希に向き直るが、瑞希は奏と目を合わせることもなくただ一点をじっと見つめていた。



