とろける恋のヴィブラート

「なるほどね~まったく、何考えてんのかしらカイリのやつ……カッコつけっちゃって」


 瑞希は、奏が話しをしている途中、何杯かカクテルを注文していたが、全く酔った様子もなく平然と語った。


(な、なんか頼もしいというか……)


 ずいぶん長い間一人で喋ってしまった。奏は、ノンアルコールのカクテルで喉を潤すとひと息ついた。


「御堂さん、本当にウィーンに帰ってしまうのでしょうか……それでも、私……自分の想いが届かなかったとしても、ピアノが弾けるようになったことは後悔しません」


「よく言った! 私、あなたのこと気に入ったわ……ふふ」


 奏の背中をバシっと叩くと、瑞希は声を立てて笑った。


 初めて会ったにも関わらず瑞希とは、まるで昔からの知り合いのような感覚だった。なぜか言いたいことも遠慮せず言えてしまう雰囲気を持っている。