とろける恋のヴィブラート

「瑞希さん、お酒強いんですね」


 たわいもない話や音楽の話をしながら一時間程が過ぎた。初めは気後れしていた奏だったが、瑞希と話しているうちに徐々に打ち解けていった。


「私なんかすぐに酔っちゃって――」


「それで? カイリとはうまくいってるの?」


「え……?」


 奏は、今になってようやく瑞希が自分と話したい本当の理由を知った。今まで楽しく話していたが、それは肩の力を抜かせるための前置きだったのだろう。


「あ、あの……別に御堂さんとは付き合ってるわけでもないし……」


「でも好きなんでしょ?」


「……はい」


 瑞希の質問に逡巡しつつも、奏は正直にうなづいた。その嘘偽りのない姿勢に、瑞希は満足そうににこりと笑った。


「なんだ、てっきりもう恋人同士なのかと思ってたわ。あいつもじれったいわね~」


「瑞希さんとは従兄妹同士だって聞きました」


「ふふ……ホッとした?」


「え? そ、それは……えっと、は、はい」


 奏の顔を覗き込んで、その狼狽えっぷりを見ると瑞希は声を立てて笑った。