とろける恋のヴィブラート

 奏は、瑞希にスツールに座るように勧められると、初対面同士ということもあり、なんとなく気まずい雰囲気を感じた。


「いきなり時間作ってもらっちゃって悪かったわね。どうしてもあなたと話がしてみたかったの」


「ありがとうございます。私も、瑞希さんと話せるなんて……」


 瑞希は、世界的に有名なヴァイオリニストだ。客席を見ると、時折チラチラとこちらを見て何か囁いている人もいた。


「明日は仕事なの?」


「明日? 明日は土曜なので休みです」


「じゃあ、飲みましょうか! 女同士で……ね?」


 大人っぽい雰囲気の中に、見え隠れするあどけなさが瑞希の魅力のひとつなのかもしれない。


 奏は、瑞希の笑顔に釣られて微笑むと、ホッと和んだ――。