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 どこをどう歩いたのかわからない。


 御堂は、奏から逃げるように闇雲にテラスから出て、夜の街を掻い潜り、そしてようやくたどり着いた自宅のドアを開けて転がりこんだ。


「くそ……!」


 ドンッと玄関の壁に拳を叩きつける。そして拳をぎゅっと握り締めてもう一度壁に叩きつけようとしたがやめた。


「奏……」


 やっと手に入れた。けれど、それはほんの一瞬だった。


 あの時、奏の気持ちに応えてやれたらどんなに幸せな気持ちを味わえただろうと思うと、御堂は自分の行動が本当に正しかったのか何度も自問自答した。



 窓の外を見ると、ところどころ照明がすでに消えた夜景がぼぅっと広がっている。ここからの夜景は絶景なはずなのに、こんなに寂寥感を思わせる夜景は初めてだった。


 御堂は、机の上に置いてある一通のエアメールに目が留まり、それを手に取ると、徐に中身を広げてみた。