とろける恋のヴィブラート

「どうした……?」


「私、御堂さんが好きです……九年前からずっと……でも、何度も何度も忘れようとして……」


「……奏」


「でも、だめだった」


 初めて御堂に自分の名前を呼ばれた。御堂の惹きつけるような低い声に呼ばれると不思議な感覚だった。


「もう、どうしようもないくらい……御堂さんが好き」


 柴野に本気になれなかったのは、ずっと心の片隅で御堂を想っていたからだ。そんな背徳感に目を背けてきた自分が嫌になる。


「随分熱烈な告白するんだな」


「自分でも言ってて恥ずかしいんですけど……」


 この二十五年間、振り返ってみれば告白ということをしたことがなかった。


 気持ちを言葉にするのは恥ずかしい。けれど、自分の気持ちがセーブできなくなるくらいに想いが溢れた時、あんなに恥ずかしくて言えないと思っていた“好き”が自然と口からでてきた。