とろける恋のヴィブラート

 御堂とはろくに会話もせず、たったひとこと最悪な言葉を投げつけられた記憶しかない。


 そんな不毛な初恋に、奏はいつの間にかに終止符を打っていた。そして、御堂も就学期間を終え、気がついたら帰国してしまっていた。


 それから長い年月が経ち、演奏家として活躍することはなくとも、可愛い後輩と頼りになる先輩にも恵まれて、めでたく大手企業に就職できた。


 そして自分にはもったいないくらいの、誰もが羨む素敵な男性とも恋人になれた。


(そう、私は何もかもうまくいってるんだから……)