とろける恋のヴィブラート

「これに目を通してくれ」


 御堂の部屋に着くなり、結婚式で演奏する曲の楽譜を手渡され、奏はそれを脳内再生して曲のイメージを浮かべた。


 ジャズ調のクラシックというコンセプトでどんな曲なのかと思っていたが、軽快なリズムの明るい曲だということが譜面から伝わってくる。


「……いいですね、これ」


「これがピアノパートの譜面だ。一度、俺がヴァイオリンパートを弾いてみせるからイメージを掴んでくれ」


「え……?」


(ジャズ調の曲って……二重奏だったの?)


 そんなことを思っていると、すかさずヴァイオリンの音色が聴こえてきた。


 ポップなリズムを刻みながら大人っぽい雰囲気に旋律が変わってく。そしてどことなく落ち着きのあるクラシックの要素も感じられ、御堂のヴァイオリニストとしての幅広い技量を改めて知る。


(私のピアノが、このメロディーと一緒に……)


 そう思うと嬉々としたものが沸き起こって、すぐさまピアノに指を滑らせたい衝動に駆られた。