とろける恋のヴィブラート

※ ※ ※

 その部屋には洗練された透き通ったヴァイオリンの音色が響いていた。


 伸びのある旋律をヴィブラートが彩って優雅に流れている――。


「…………」


 なにか納得いかないのか、御堂は弓をさっと下ろすと、窓の外の暮れていく夕日を眺めた。


「なによカイリ、せっかく聴いてたのに」


「お前がいると気が散る」


「ふふ……こんなことで気が散るなんて、あなたもまだまだ二流ね」


 桐島瑞希は肩にかかる黒く長い髪を払うと、魅惑的に唇を曲げた。