とろける恋のヴィブラート

「それは奏の“忘れられない人”に、僕はやっぱり勝てなかったってことだよね?」


 間接的に御堂のことを言われ、奏は一瞬言葉を選ぶのに戸惑った。


「いいよ、正直なところは奏のいいところでもあるからね。でも、いつかこんな日が来るんじゃないかなって思ってたんだけど、予想以上に早かったから、ちょっとびっくりしてるよ」


「え……?」


 まるでこの状況を前から予想していたかのような口ぶりだった。柴野はあくまでも冷静で、取り乱すことなく淡々としている。


「御堂と同じように、僕も君をずっとずっと見ていたんだけどな、君は高校時代から変わらないね。変わったのは髪型くらいかな?」


「柴野……さん?」