とろける恋のヴィブラート

「……それは悪くないな」


 それはまるでスローモーションのような感覚だった。囚われた顎を引き寄せられると、温かくて柔らかな感触が奏での唇を覆った。


(え……? み、どうさん?)


 御堂の長い睫毛が今にも肌に触れそうで、奏はその口づけに上気した。時折、唇が離れると御堂の細かく震える吐息が、まるでヴィブラートのように奏の唇を刺激した。


 身も心も蕩けそうになって、閉じた瞼をゆっくり開けると、ふとテーブルの上に置いてあるエアメールに目が留まった。



 桐島瑞希――。