とろける恋のヴィブラート

 御堂は、ヴァイオリンをケースから出し鎖骨にヴァイオリンを乗せる。その仕草につい見蕩れてしまうが、奏はぶんぶんと首を振って我に返った。


「御堂さんの伴奏? 片山さんの結婚式で? 私が? どうしてですか?」


「質問はひとつにしろ」


 奏は、頭の中で網羅している言葉をなんとか整理しようとした。けれど、自分を見下ろす淡褐色の瞳に思考を妨げられる。


「……すみません、少し考えさせてくれませんか?」


 御堂の横でまたピアノを演奏できると思うと気持ちが浮き立つと同時に、再びトラウマがぐるぐると取り巻き始める。


(御堂さんと一緒にピアノを弾きたい……でも)


 奏が逡巡しているその時――。