とろける恋のヴィブラート

 御堂の言葉に奏の心臓が疼いた。そしてドクドクと脈拍も早まって体温が上昇していく。


(な、なに……またドクンって――)


 街の照明が薄暗い部屋に入り込んで、御堂のアッシュブラウンの髪の毛が煌めいている。何度見ても御堂の端整な顔立ちには言葉を失う。


 そんなふうに思ってしまうのは、自分に隙があるからだと奏は邪念を振り払うが、その光景に奏の目は釘付けになってしまった。



「俺はお前が音楽、特にクラシックに関してどう思っているのかずっと聞いてみたかった。けど、あれがお前の本音……なんだろ?」


「クラシックは私の全て……っていった事ですか?」


「あぁ」


 杏子に侮辱された時、奏は自分の全てを否定された気分になった。


 ムキになって胸の内を言葉にしてしまったのは大人気なかったと思うが、あの時はクビが飛んでも言ってやらなければ気がすまなかった。