とろける恋のヴィブラート

 御堂は、ソファにどかっと座ると、少し疲れた顔をして前髪をかきあげた。


「今度発売するCDに収録する曲でちょうどジャズ調のものを一曲考えていた。公の場で試しに披露できる機会があればと探していたところだった」


「もしかして、さっき電話で言ってた話っていうのはそのことだったんですか?」


「あぁ、でも直接お前の事務所に行って話をつけた方が早いと思ったんだが……」


「そうだったんですか、なんだかバタバタしてしまって、すみませんでした」


 奏が申し訳なさそうに俯くと、御堂はふんと鼻を鳴らした。


「別に。俺はあぁいう中途半端にミーハー気分の客を腐るほど相手にしてきたから、今更なんとも思わない」


 テーブルに置いてあるフルーツの盛り合わせを物色すると、御堂はその中から苺を摘まみ上げてポイッと口に放り込んだ。